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 今日のテーマは、「消費税について考える その3」です。このテーマ、その2で完結する予定でしたが今朝の産経新聞で、「機内トイレに金塊数十キロ 台湾発バニラ・エア、関空で発見」という記事が掲載されました。金取引で有名な〇〇貴金属工業のホームページでは、1グラム消費税込みで4,855円ですから、この金塊10キロでしたら4,855万円、そのうち消費税相当額は約360万円です、10キロの金塊が密輸入されることで消費税が約360万円が詐取されるということです。今回は未遂となりましたが、話題が遠ざかったころに忘れ物として届け出がなされ金塊は返還されることとなります。非常に少ないリスクで大きな利益がでるという商売とすればうまみのあるものですが、それ自体税金の詐取であれば、立派な犯罪ですね。

 このような金塊密輸を取り締まることは重要なことですが、私が思い悩むのは、前回のブログで説明したように、わが国の零細な事業者が消費税転嫁システムから排除されかねない、それ自体が大きなテーマだと思うのです。
 確かに消費税転嫁システムを円滑に稼働させるために、①免税事業者制度、②簡易課税制度、③取引記録の保存及び記帳制度が組み込まれておりますが、平成35年10月から導入される適格請求書発行事業者制度は、第4の仕組みともいえますし、③の仕組みの強化ともいえるものですが、零細事業者にとっては負担の大きなものといえます。消費税適格請求書がなければ消費税を転嫁できない制度ですし、適格請求書発行事業者になるには消費税課税事業者を選択する必要があります。
 たとえば売上利益率が10%の事業者であれば500万円の利益を得るには5,000万円の売上が必要ですが、私のような税理士などコンサルタント業種は売上利益率は事業規模により差異はありますが、人件費が課税仕入にならないことを考えると50%を超えることとなりますので、1,000万円の売上があれば十分な利益を確保できるということです。つまり、消費税課税事業者か免税事業者かの区切りを売上金額1,000万円としている現制度では、売上利益率が高い事業者ほど小さな売上金額で十分な利益が得られるということです、税理士でいえば消費税免税事業者であっても十分に事業として成り立つということです。
 零細事業者は当然ですが売上金額は小さいですが、売上利益率が大きい零細事業者の大半が消費税免税事業者である割合が高い、典型的な事例が、個人タクシー、といえるかもしれません。
 もちろん、売上金額1,000万円未満の方でも消費税課税事業者を選択することはできますし、そうなったからといって消費税は預り金ですからそれ自体事業者の利益には影響しません。しかし、事務負担は確実に増加します。
 私の問題提起はここまでです、消費税は少子高齢化に悩むわが国にとっては必要な税制度ですが、中立であるべき税制で必要以上の負担が増える事業者がいる、しかも多くを占める零細事業者がそれに当たる、非常に悩ましい問題です。
 税理士は税制に対しては中立であるべきだと考えていますが、この問題、何らかの工夫がなければ生き残れない事業者が確実に現れそうですから、国会議員の皆様にはよくよく審議していただきたいものです。
 もちろん、税理士はそのような零細事業者を全力でバックアップすることは当然のことですし、そうでなければ税理士の存在価値がありませんね。

  本日もブログをお読みいただきありがとうございました。
税理士は税に対しては中立ですので、文中の意見に関するところはすべて私見であり、その責任は私にあります。

税理士 松本正己
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